2016.12.21
前回に引き続き、節約シリーズ、第二段です!
溶接パネルまでも、スクラップ在庫から再利用して修理を行いました。
出来るだけ、部品注文を抑えて、安く修理をした事例です。
↓この茶色い車を修理します。
後ろを追突されて、前の車に突っ込んだ、、いわゆるサンドウィッチになった車両です。
追突でフロアーが大破、前に突っ込んでボンネットまで損傷しています。
↓スクラップ在庫に、型のあう車両で、後ろ周りが使える車両がありました!
当社では、今回のような節約修理を行うときのために、解体業の許認可を得ており、事故車から部品取り
をできるように備えております。
今回は外板だけでなく、フロアーパネル、溶接パネルも移植します。
↓直す茶色い車。フロアーパネルは、広島弁でいうと、「へしゃげて」います。(潰れているということ)
クーラーコンデンサー、ラジエターは無事のようです。(変形修理で済みそうです)
以下、修理過程の様子を紹介いたします。
まずは、後部から修理を始めます。室内シートを外し、ガソリンタンク、サスペンションを外して
「修正機」に車体をセットします。
車体の修正が必要なとき(車体を強い力で引っ張って大枠をもどしたいとき)は、修正機にセットします。
リアー周りの取り付け部品を外したら、10トンの力で粗出しの引き作業です。
↓右写真のチェーンで引っ張ります。
強い力で引くと同時に、ハンマーでパネルに衝撃を与えて、引き出しをサポートします。
「メリメリ」っと、とっても大きな音がして迫力がすごいです。
10トンの力なので、ひとつ間違えると、大怪我、命に関わる一大事につながる作業です。慎重に!
粗出しが終わったら、中古パーツのバックドアーを仮り付けをして、テールランプやリアクォーターパネル
との隙間をチェックします。押し込まれた車体が、ちゃんともとの位置まで引っ張って戻されているかどう
かをチェックします。ここでしっかりチェックを行っておかないと、最後の最後、組み付けで合わなくなっ
てしまい、また一からになります、、、。責任重大です。
粗出しが完了して隙間も位置もOKなら壊れているパネルを外していきます。
スポット溶接されている箇所をドリルで穴をあけていきます。
地味だけど腕力を要する、体力作業です。
↓溶接パネルを取り外しました。なかなか、普段この光景は見れないですよね!
スポット溶接を取り外したあとは凹凸が残ります。
その凹凸をグラインダーで綺麗に削り仕上げて、平面にします。
フロアーのリインフォースメントを合わせて、溶接します。
交換するフロアーパネル(新品)を溶接のために塗料を剥離します。
防錆剤を塗ります。
フロアーパネルを仮付けして、OKなら溶接していきます。
リアーパネル、テールランプハウジングをスクラップ車両のほうから取り外します。
プラズマ切断機でカットしています。火の粉がよく飛ぶので注意!
局部的に高熱を与えて、高圧エアー(風)で切断部分を吹き飛ばします。
溶接痕を綺麗に掃除、形を整えて仮合わせをしながら定位置にセットします。
半自動、スポット溶接で取り付けます。
取り付けが終わったら、サーフェーサー、シーラー塗布、室内色の塗装、内部の仕上げです。
サーフェーサーを塗ったあとで、防音のためにサイレンサーパッドを貼り付けます。
フロアーを切り取る前に、型紙として残しておいた形で切り取ります。
サイレンサーパッドはアスファルトのような素材で出来ているので、カッターでも切り取り作業は大変です。
修理前の元位置に、ドライヤーの熱で伸ばしながら貼り付けます。
すぐに破れるので、注意深くすることです。
貼り終わると外側パネルも錆止め、防水、防錆シーラーを塗布します。
室内色を塗って、サスペンションの組み付けです。
足回り、ガソリンタンク、、最初に取り外したものを取り付けていきます。
残るはボディの塗装です。傷を拾って、研ぎこみます。
バンパー、ボンネット、バックドアー、フロントのフェンダー・・・塗装の仕度です。
リアーフェンダーを塗装する時、屋根の中間あたりでボカシ作業をする工場が大部分ですが、それだと
経年でボカシ際が変色してしまいます。
当社ではそれを防ぐために、フロントピラーまで塗装をして、継ぎ目がなくなるようにしております。
この方法だと年数が経っても、塗装の境目が現れません。
今回も中井君の塗装です。弊社の次の日本代表候補です。中井君、がんばって!
ヘッドランプも使用年数が長くなるとレンズ表面のクリアーが傷んできます。
綺麗に研ぎこんで磨く、、、あるいは新しくクリアー塗装をすることで再生できます。
新品同様の輝きです!これなら雨の夜道でも、よく見えます!
後ろまわりの組み付け作業です。
ガラスの取り付け。
ガラスは専門の業者さんに外注する工場がほとんどですが、弊社では内製化しています。
自社で取り付けます。
↓右の写真はガラスの取り付け後の水漏れチェックをしています。
青いホースから一定時間水を流して、水漏れをしていないか厳しくチェックします。
磨き作業です。
↓右の写真は、社内で誰よりも塗装肌にこだわりを持っている、ベテラン磨き職人の高尾さんです。
塗装をすると必ず磨き作業が発生します。その全台数をこの高尾さんがチェックします。
塗装肌を見る表情は、厳しくもあり、なにやらニヤけているようでもあります。それだけ好きなんでしょう。
完成しました!
フロントの修理は割愛させていただき、主にリアまわりの修理をご紹介いたしました。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!