2024.02.29
新和自動車はジャガー・ランドローバーの正規認定BP工場です。
認定工場になるための条件は各種設備の所有や、専用工具の購入、トレーニングへの参加、セキュリティなど、高い基準が求められます。ドバイまで行って鉄とアルミそれぞれについて溶接、接着などトレーニングを受講して、厳しい試験に合格致しました。
今回はルーフ交換のランドローバー(ディフェンダー)が入庫しましたので、その作業行程を紹介します。
この車はボディもルーフもアルミ素材です。これまでの多くの車は鉄素材であり、ルーフ交換はスポット溶接でした。アルミ素材ではスポット溶接ではなく「リベット接合」で取り付けます。正しい知識が必要になります、トレーニングなどで学んだことに注意しながら慎重に作業をすすめます。
まずは修理前の写真です。駐車場かどこかでシャークアンテナを引っかけてしまったのでしょう、ルーフがひどく凹んでいます。
今回はルーフ取替をメインに紹介するので、前後の作業風景は割愛します。キズや汚れを防止するためにしっかりとビニールで覆って、フロントガラス(交換予定)を外して、サンルーフを外して、凹んだルーフパネルを外した、ところから作業スタートです。
↓右写真が新品のルーフパネル、裏返しています。アルミなので持ってみるとビックリするくらい軽いです、片手で余裕で持ち上げられます。接着剤を入れて車体に乗せていきます。鉄素材でも接着剤は使っていました。
ベルトサンダーを使って接着剤で接合する箇所の塗料を削り、アルミ素材をむき出しにします。
次に接合箇所の脱脂です。
この接着剤を使います。
接着剤をつけていきます。
ボディ側にも接着剤をつけます。
ハケで接着剤を均します。写真がありませんが、ハケで均したあとに再度接着剤をつけます。
接着剤をつけ終わったら、ボディに乗せていきます。ズレないように慎重に。
次はリベットを打ち込んでいきます。
まずリベットを打つ場所に目印をつけます。
↓これが認定工場ならではの工具です。
XPress800というリベッターで、ジャガー・ランドローバー専用のアタッチメントです。(高級品です。。)
↓左写真のリベットを、右写真のようにリベッターにセットします。磁石でくっつきます。
リベットをボディに打ち込んでいきます。
セルフピアスリベットというアルミならではのリベット接合手法です。
穴をあけながらリベットを打ち込んで複数パネルを接合していきます、従来の鉄素材ではなかった作業だと思います。
↓そのセルフピアスリベットを写真と動画で紹介します。
↓打ち込み完了、これでもうビクとも動きません。
水漏れがないように慎重にシーラーを入れて、サーフェーサー処理します。
塗装準備です。
今回ご紹介する作業は以上です。
作業者の感想としては、パネル自体が軽いので取扱いやすく、スポット溶接機を細々移動しなくていいところが、重労働感(身体の負担)が少ない印象のようです。
ただし部位によって使用するリベットの種類(長さや大きさなど)が違ったり、作業の仕方も違うので、きちんとした知識を持っていないと取り扱えません。
完成写真です♪